Home » レポート » ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインの7原則 

この文章は、最後に記載されているみなさんのご協力により掲載しております。

ユニバーサルデザインとは、様々な人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることであり、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものであってはなりません。

ユニバーサルデザイン7原則は、建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者などからなるグループが、協力しあってまとめたものです。

これは、環境、製品、コミュニケーションなどを含めて、デザインがかかわる幅広い分野での方向性を明確にしています。これらの7原則は、既存のデザインの 評価や、デザイン・プロセスの方向づけに使えるだけでなく、使いやすい製品や環境とはどうあるべきかを、デザイナーのみならず消費者を啓蒙するためにも活 用できるものです。

ユニバーサルデザイン7原則は以下のものから構成されています。
原則:簡潔で、かつ、覚えやすく表現された基本的な考え方
定義:原則に沿ったデザインをするための簡潔な方向付け
ガイドライン:原則に忠実であるために必要とされる基本要件
(注意:すべてのガイドラインが、どのようなデザインにも当てはまるとは限りません)


ユニバーサルデザイン7原則目次

 

ユニバーサルデザイン原則1:誰にでも公平に利用できること

画像:手すりとエスカレーター
ユニバーサルデザイン例:わずかな距離の階段でも手すりがあり、エスカレーターも併設されています。
画像:設置高の違う電話機
ユニバーサルデザイン例:さまざまな人の利用を考え、電話機の設置高を変えています。

定義:
誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。
ガイドライン:
1a.誰もが同じ方法で使えるようにする。それが無理なら別の方法でも仕方ないが、公平なものでなくてはならない。
1b.差別感や屈辱感が生じないようにする。
1c.誰もがプライバシーや安心感、安全性を得られるようにする。
1d.使い手にとって魅力あるデザインにする。


 

ユニバーサルデザイン原則2:使う上で自由度が高いこと

画像:おむつの替えられる男性用トイレ
ユニバーサルデザイン例:男性用のトイレでも子どものオムツが換えられるようになっています。
画像:さまざまなトイレの表示
ユニバーサルデザイン例:使う人のさまざまな状況に合わせて使えるトイレの表示。

定義:
使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。
ガイドライン:
2a.使い方を選べるようにする。
2b.右利き、左利きどちらでも使えるようにする。
2c.正確な操作がしやすいようにする。
2d.使いやすいペースに合わせられるようにする。

 

ユニバーサルデザイン原則3:使い方が簡単ですぐわかること

画像:病院内の案内看板
ユニバーサルデザイン例:病院内の案内看板。行きたい場所が色と大きな数字でわかりやすい。
画像:大きいサイン
ユニバーサルデザイン例:大きくて見やすいサイン。下の部分には点字がついています。

定義:
使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られていること。
ガイドライン:
3a.不必要に複雑にしない。
3b.直感的にすぐに使えるようにする。
3c.誰にでもわかる用語や言い回しにする。
3d.情報は重要度の高い順にまとめる。
3e.操作のためのガイダンスや操作確認を、効果的に提供する。


 

ユニバーサルデザイン原則4:必要な情報がすぐに理解できること

画像:ライトを入れたサイン
ユニバーサルデザイン例:暗くて表示が見にくい地下などではライトを入れたサインが目立ちます。
画像:画面表示のある電話
ユニバーサルデザイン例:画面表示が備わって使い方がすぐに理解できます。

定義:
使用状況や、使う人の視覚、聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。
ガイドライン:
4a.大切な情報を十分に伝えられるように、絵や文字、手触りなど異なった方法を併用する。
4b.大切な情報は、(例えば大きな文字で書くなど)できるだけ強調して読みやすくする。
4c.情報をできるだけ区別して説明しやすくする(やり方が口頭で指示しやすくなるように)。
4d.視覚、聴覚などに障害のある人が利用しているさまざまなやり方や道具でも、情報がうまく伝わるようにする。


 

ユニバーサルデザイン原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること

画像:地下鉄の二重扉
ユニバーサルデザイン例:地下鉄などでは大きな事故を防ぐために二重扉が増えています。
画像:ノンステップバス
ユニバーサルデザイン例:ノンステップバスは、誰でも安全で楽に乗り降りが出来ます。

定義:
ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。
ガイドライン:
5a.危険やミスをできる限り防ぐ配慮をすること:頻繁に使うものは最もアクセスしやすくし、危険なものはなくしたり、隔離したり、覆うなどする。
5b.危険なときやミスをしたときは警告を出す。
5c.間違っても安全なように配慮をする(フェイルセーフ)。
5d.注意が必要な操作を意図せずにしてしまうことがないように配慮する。

 

ユニバーサルデザイン原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること

画像:商品の選択ボタン
ユニバーサルデザイン例:商品の選択ボタンが、大きくて押しやすい形で低い位置にも取り付けてあります。
画像:少ない力で出せる水道
ユニバーサルデザイン例:水やお湯を出すときに少ない力で使用できるデザインと性能。

定義:
効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。
ガイドライン:
6a.自然な姿勢のままで使えるようにする。
6b.あまり力を入れなくても使えるようにする。
6c.同じ動作を何度も繰り返すことを、できるだけ少なくする。
6d.体に無理な負担が持続的にかかることを、できるだけ少なくする。


 

ユニバーサルデザイン原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

画像:ロンドンタクシー
ユニバーサルデザイン例:元々ロンドンタクシーは、車椅子の入るスペースを考えて作られています。
画像:階段やスロープ
ユニバーサルデザイン例:階段やスロープ、自転車置き場など、ゆったりとしたスペースが確保されています。

定義:
どんな体格や姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。
ガイドライン:
7a.立っていても座っていても、重要なものは見えるようにする。
7b.立っていても座っていても、あらゆるものに楽に手が届くようにする。
7c.さまざまな手や握りの大きさに対応する。
7d.補助具や介助者のためのスペースを十分に確保する。


これらのユニバーサルデザイン7原則は、誰にでも利用可能なデザインという視点を中心にしています。しかし、実際のデザインでは、使いやすさ以上の ことにも配慮が必要であり、デザイナーがデザインをする過程で、経済性や、技術的条件、文化的要件、男女差や環境への影響など、関連する諸条件を考慮に入 れなければならないことはいうまでもありません。これらの7原則は、できるだけ多くの人達の要求に対応できるような特徴を、よりうまく組み込んで理想的な デザインを目指すにあたっての、デザイナーへの指針です。

Version 2.0 4/1/97
c Copyright 1997 NC State University, The Center for Universal Design

この原則は、以下のユニバーサルデザイン提唱者により編集されました(アルファベット順):
Bettye Rose Connell, Mike Jones, Ron Mace, Jim Mueller, Abir Mullick, Elaine Ostroff, Jon Sanford, Ed Steinfeld.Molly Story, Gregg Vanderheiden
http://www.design.ncsu.edu/cud/about_ud/udprinciples.htm(英語)
また、日本語訳文の責任は、Satoshi Kose、Tetsuya Yasuzawa、Koji Yanagida、Michiko Shimizu、Michiko Horikawa(古瀬敏、安澤徹也、柳田宏治、清水道子、堀川美智子)にあります。


Buzzurlにブックマーク Googleブックマークに登録 はてなブックマークに登録