ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザイン(Universal Design:略してUDとも呼ぶ)とは、できるだけさまざまな人にとって、まちやものを使いやすくすること です。年令、性別、能力、体格などの多様な環境にかかわらず、できるだけ多くの人が使えるよう、最初から考慮して、まち、もの、情報、サービスなどをデザ インしていくプロセスを指します。また、この考えに基づいてつくられたまちやものを指していうこともあります。(ユニバーサルデザインの7原則を参照)
UDは、わたしたちが生活するさまざまな場所や状況にかかわるものなので、多くの分野でそれぞれのUD専門家が活躍しています。建築、住宅、交通、まちづくり、工業製品、日用品、情報などです。
ユーディット(UDIT:情報のユニバーサルデザイン研究所)では、主に情報分野のUDを研究・推進しています。パソコンや携帯電話などのIT機器、情報 家電を初めとする家庭内機器、ATM,自販機などの公共端末、Webサイト、放送・通信など、ITにかかわる多くの製品やサービスをできるだけ多くの人に 使えるよう、自治体の情報発信や、企業のものづくりに多様な市民・ユーザーの声を反映させることを目的としています。
バリアフリーとの違い
戦後の復興期に健康な成人男子を中心に作られてきた日本の社会は、女性や子供、障害者や高齢者にとって使いにくいもの、バリアとなるものがたくさん あります。これを減らしていこう、バリアをフリーにしていこうということがバリアフリーデザインです。これはバリアの多い日本では大変必要なことなのですが、後付けでの配慮はコストがかかりすぎたり、特別な機器を使わなければならなかったりちょっと大げさなデザインになってしまって本人には嬉しくない場合 もあるのです。
これに対して、ユニバーサルデザインは、デザインの最初から多様なユーザーのニーズを考慮して作るため、あまりコストもかからず、デザイン的にもさりげな く美しくできることも多いのです。そして、それは、ニーズの大きな人だけでなく、もっとニーズの少ない方、若く元気な人にとってもメリットがあります。家 族全員で気持ちよく使えるまちやものは、市民満足度、顧客満足度の向上につながります。ですから、新規にものを作ろうとする行政や企業の担当者は、できる かぎりユニバーサルデザインを理解してまちやものを考えるほうがいいのです。
多様なニーズを持つ当事者も、まちづくりやものづくりの、できるだけ早い段階から企画に参加し、その意見を結果に反映させていく必要があります。ほしいも のを要求するだけでなく、どうすればもっとよく改善できるのかを提案し、良い部分を評価する態度も重要です。製品が作られる過程を知ることや結果への責任 も求められるでしょう。ユニバーサルデザインは、成熟した民主的な市民社会・消費者意識とともに発展するものです。