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2009年CSUNツアーレポート:関根千佳(8)

3月20日 その2 DATEセッション

プレゼン資料1:Four aging in place technology categories この日は、一日、マリオットの一階奥の部屋で、DATE(DESIGN,ACCESS,TECHNOLOGY & EDUCATION)というセッションが開催されていた。最初はこのセッションについては、プログラムの中にも正確には書いていなかったため、存在さえよくわからないくらいだった。紙で配布されたプログラムにも、差し込んである日ごとの区切りページの上にしか出ていないため、今ひとつ、発表者のプロフィールや内容がわかりにくかった。これが災いしたうえ、会場が入りにくい位置にあったため、広い部屋が準備されていたにもかかわらず、参加者は驚くほど少なかった。しかし、実際には、この会、大変に豪華な顔ぶれだったのである。なんともったいないことだったろうか。

 実はこのセッションの一週間前に、シニアに関するカンファレンスであるAGING IN AMERCAがラスベガスで開催されていた。CSUNの倍ほどもセッションの数がある巨大な会である。その内容を知ったとき、なんとかLAの前に行けないものか、とあれこれ検討したものだった。実はそのメンバーのキーマンが、ほとんどそのままLAへ来ていたのだ。このラスベガスのカンファレンスの中では、ベビーブーマーを市場のターゲットととらえ、その消費傾向などを分析する一日のセッションが開催されていた。その「ブーマー・ビジネス・サミット」の主催者が、今回のDATEセッションのファイナルスピーカーだったメアリー・ファーロング氏だったのだ。

プレゼン資料2:Eskaton national Demonstration Home メアリーは、私にとって、大変なつかしい人だ。いったい最初に会ったのは何年前だろう?10年以上前のはずだ。全米をつなぐシニアネットの創始者だ。彼女がこのブーマーサミットを、もう6年もやっていると聞いて、そのビジネスセンスに脱帽する思いだった。

 時間の関係で全部のDATEセッションは聞けなかったが、ACCESSと名づけられたセッションと最後のメアリーのセッションは聞くことができた。海外でキーワードになりつつあるAGING IN PLACEという言葉を、ここで何回も聞いた。ジェロントロジーの世界では重要な言葉だ。自分の住みたい場所で、幸せに老いていくためにはどうすればいいのか。その分野の専門家たちが、これまでの知見を惜しみなく披露してくれる。これまで私は、障害者支援技術に関してはアメリカの方が制度的に進んでいるが、高齢者に対するテクノロジーはUDの進んだ日本の方が勝っていると信じてきた。だが、どうやらそれは、はかない期待でしかなかったのかもしれない。住宅、まちづくり、家電、生活用品、そして日本が勝っていたはずのIT系でさえ、アメリカですでに使用可能な、たくさんの技術や製品が紹介されていた。ここでは、ユニバーサルデザインは、あたりまえであって、特別でもなんでもない概念となってしまっている。完敗だった。

DATEセッション 最後のメアリーの話も圧巻だった。今後のブーマーの消費力は、この数年間で爆発的に増えるというのだ。リーマンショックなどなんのその、という元気さである。職を失う不安もなければ、投資も分散する賢い層なので全財産を失う人も少ないのだろう。今後の数十年において、アメリカの市場をひっぱるのはあきらかにブーマーだということを、綿密なデータで示していた。日本の企業は未だに若者の尻をおっかけてばかりで、シニアには目を向けない。シニアは買えないのではなく、買いたいものがないから買わないだけだ。シニアが買いたいものを作らないから売れないという悪循環に、企業はまだ気づいていないのだろう。

サンフランシスコ風シーフードシチュー夕食はマコーミック&シュミットでシーフードを頂く。ここのお料理はいつも美味しいし、美しい。昨年あった、海のフルーツという名前のシンプルなワイン蒸しは存在せず、今年はサンフランシスコ風シーフードシチューにする。大変美味しかったが、予想通りカニを食べるのに私の周囲はものすごくメッシーな状態になった。。。。。おかげでテーブルは静かだったかもしれない。