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2009年CSUNツアーレポート:関根千佳(4)

3月18日 その2 図書館と公園のUDを見る

 午後は、エクスカーションへ行く。結構大人数になった。空港へ行くバスのリフトが壊れていたので、先発隊を先に送り出し、私は車いすの櫛田さん、全盲の斉藤さん、ジャーナリストの月崎さんと4人で次のバスを待った。で、次のバスは正しく動くリフト付きで、乗るのも降りるのも快適だった。車いすの移動に関しては、空港周辺はかなり楽である。で、空港で降り、ユニオンステーション行きのFlyAwayのバス停を探す。先発隊の姿が見えない。あれ、もう先に行ったかな?諦めてタクシーに乗ろうか、と思っていると、おっ、バスが来たぞ。これだこれだ、と4人で乗り込む。アクセシブルだなあ。 と思って中を見ると、おや、先発隊がいない。おかしいなあ、そんなに頻繁に来るバスじゃないはずだけど。。。。と不審に思いつつ、乗り込む。で、乗ってから、月崎さんの携帯に榊原から電話が入った。。「え?まだ乗っていないの???」

リフト付きバスに乗り込む 私たちは先発隊になってしまったわけだ。図書館で待つから、と言い残し、われわれはさっさと目的地へ向かう。Flyawayを降りたところでお金を払ったりしていると、黒人の警備員がやってきて、本来なら正門側で待機しているリフト付きタクシーを呼んでくれた。ラッキー。ここから正門までは実はかなり距離があるのだ。図書館へは10分もかからずに到着する。なんだか、寂れた建物だと思ったが、これは裏口だった。こっちのほうがアクセシブルだからを運転手が気を遣ってくれたのだ。こういう点でも教育が行き届いていることを実感する。サービス業の中に、多様なユーザーへの配慮が当たり前に行われている。ユニバーサルサービスという言葉をもう一回思い出す。

 ロサンゼルス中央図書館の中は大変広かった。ここは、LowVisionセンターはあるが、全盲者への施設は少ないらしい。拡大読書器や拡大ソフトのある場所をいろいろ見て周る。拡大図書、音声図書の棚の巨大なこと!ごくごく普通に拡大された文字の書籍が借りられるというのは、弱視の子どもを持つ親や本人にとって、また視力の弱ってきたシニアにとって、なんて嬉しいことだろう。情報保障のあり方について、ユニバーサルデザインが当たり前になっている状況を見ると、つい、日本の図書館の対応と比べたくなってしまうのだった。

ロサンゼルス中央図書館写真1ロサンゼルス中央図書館写真2ロサンゼルス中央図書館写真3ロサンゼルス中央図書館写真4

インクルーシブパーク ここで、ようやく後発隊が到着する。次のバスまで1時間半も待ったそうだ。大変だったね。でも、もう時間がない。次に行こうと思っていた公園は、18時までだ。また焦ってタクシーを拾い、公園を目指す。弊社のエクスカーションは、基本的には自力で目的地へたどり着くというものなので、目的地の住所を書いた紙などが必要なのだが、持っていない参加者も多く、ときどき置いていってしまうこともあった。インデペンデント(自立)を学ぶのもこのツアーの目的なので、貸切バスでどこまでも連れて行ってもらうという意識の参加者にはちょっとタフだったかもしれない。でも、タクシーでみんな無事に到着した。

 

インクルーシブパークで遊ぶ子供で、次に行ったこのインクルーシブパークが、めっちゃ楽しかった。まず、床の素材が柔らかい。乗り物がUDで、いろんな年令や状態の子どもが一緒に遊べる。もちろん大人も子どもも楽しい。1歳くらいの小さな女の子が遊びに来ていて、いつまでも楽しそうに遊んでいた。これは好きだけど、あっちのブランコは匂いがヤダって言って、乗らないのよね、とママが説明する。ユニバーサルな遊具が、選べるほど在るということの豊かさに、なんだか、胸が熱くなる。公園内のベンチも、よくできたUDだ。
東女の学生さんに問いかける。「はい、どこがUDだと思いますか?」「えっと、車いすやベビーカーのユーザーが一緒に使えるところです」ご名答。どのベンチも、同じように少しだけテーブルが長く、多様なユーザーが一緒に使うことを想定して最初から作ってある。きっと、これって、別にベビーカーユーザーだけじゃなくたって、お弁当を机いっぱいに広げたい親子連れにとっても、便利なテーブルなのだろうな。ほんのちょっとの配慮が、みんなをハッピーにするUDの魔法を見たような気がした。ベンチ

 この他にも音の出る遊具や触ってわかるおもちゃもあり、視覚障害の子どもにも配慮されているのがわかった。水のみ場やトイレももちろんUDだ。どの遊具も、設備も、使ってみたらそのUDさがわかる。今回一緒に来てくれた7歳のえりかちゃんは、楽しさのあまりいつまでも帰りたがらないほどだった。大人だって楽しかったものね。日本にこんな公園ってあるのかしら?子ども病院や図書館には必ず併設されるようになるといいのにね。

とびら望月さん水道遊ぶ子供2

 夕食はリトル東京へ行ってマーボー丼や坦々麺を食べる。ビールが99セントで安い。ここからは徒歩で地下鉄の駅へ向かい、ブルーラインとグリーンラインを乗り継いで空港駅へ、そこからシャトルバスで戻る。なかなかスリリングなコースだった。梅田さんがシャトルバスのドライバーに交渉してくれて、ヒルトン前でおろしてもらった。すごい!