2009年CSUNツアーレポート:関根千佳(3)
3月18日 その1 508条や国連障害者権利条約の動向
午前中は508条のインパクトや、国連障害儒条約の影響などを論じるセッションに集中して参加する。508条はこの数年間、改定を見越してさまざまな技術基準の見直しが行われてきたが、オバマ政権への移行の結果を見極めたうえで、おそらく来年、改定されることになるだろう。米国の場合、政権が変わるとスタッフが大幅に変わるので、改定を予定していた法案は、いったん凍結されたような格好になる。だが、新政権のスタッフたちは、じっくり法案の内容を理解し、練り直し、新たな付加価値をつけて出そうとする。悪い部分は修正するにしても、決して前任者がやってきたことを、無視したり放り出したりはしない。日本の自治体で首長が変わると、それまでの良い成果を完全に無視した政策が跋扈して哀しいこともあるのだが。しかし、508条もついに10年経ったのか。そう思うと感無量だ。あの施行前夜の、ワシントンの蜂の巣をつついたような大騒ぎ。連邦政府の508条説明会での調達担当者や米国企業の緊張ぶりに、日本から行ったNECやキヤノンの担当者と、顔を見合わせてしまったものだった。欧米の産業界が、環境やUDこそ国際競争力の原点と認識していくのを見ながら、日本の状況を思い暗澹たる気持ちになったのを思い出す。なんだか、この構図はちっとも変わらず、日本の状況はどんどん悪くなっているのかもしれないと思う。