2006年CSUNツアーレポート:関根千佳(3)
3月21日 その1 ソニーデザインセンター訪問
今朝は朝からソニーのLAデザインセンターへお邪魔する。これはツアーのオプションではなく、ツアー参加者のCIAJさんチームの視察に、ユーディットも参加させていただいたのだ。お邪魔ムシなので大人しくしておこうと思ったのだが、持ち前の好奇心で、つい質問をばんばんしてしまった。ごめんなさい。
オフィスは大変に美しい。建物のサインも、タクタイルで点字つきであり、ADAの浸透を感じる。こういうところで仕事ができるというのは、とても羨ましいことだ。遊び心満載のインテリア、五感に訴えるディスプレイ、ちょっと可愛い小物など、なかなか日本にはないセンスが溢れていて、楽しかった。ラボのオープンデーで参加者に配ったという赤いラベルの水のボトルもゲットする(あんまり可愛いのでねだってしまったのだ)。こういう「小さな」もののデザインは、本当に日本のセンスだと思う。今、アメリカでは、「カワイイ」という言葉がとても流行っているという。これもソフトパワーの一つだろう。ここで展示されているデザインにも、かわいくてクールで、かつ、日本人のセンスも加味した素敵なものが多い。だが、その素敵なアウトプットは、あまり日本の本社には受け入れられていないのだという。ちょっともったいない気もした。
だが確かに、デザインは秀逸だが、わたしたち、ユニバーサルデザインやユーザビリティの専門家の目で見ると、使い勝手の検証などは少し物足りない気もする。せっかく素晴らしいファシリティがあるのだし、周囲には多くの刺激に溢れたデザイナーがいる地区なのだから、大いにクールなデザインを推し進めてほしいと思う。そして同時に、ここにもユーザビリティのテスティングラボを設けて、ユーザー評価やユニバーサルデザインの検証も進めてほしいと思う。カリフォルニアは、多様性のまちでもある。移民が多いため子供も多いが、若くて元気なシニアも東海岸から引退後にあこがれて移ってくる土地だ。異なる年齢や文化的背景まで考慮して、誰にとっても使いやすくかっこいいユニバーサルデザインの推進にはもってこいの場所である。ここから情報発信されたデザインが、日本やアジアの、ちょい悪オヤジのハートを捉えたら、かつ、わたしのようにまだまだ若いぞと信じきっているカワイイ大好きおばちゃんにもウケたら、大きな市場になるのになと思わずにはいられない。クールで、かっこよくて、カワイクて、かつ、使いやすい!そんなLA発のデザインを期待している。