2006年CSUNツアーレポート:関根千佳(10)
3月24日 その2 普通の生活に触れるための街歩き
午後は恒例の街歩きである。このツアーの特徴は、ごく普通のアメリカ人の暮らしに触れるという点でもある。日本人向けのガイドブックには載っていないけど、現地のアメリカ人なら、みんな知っているような場所に案内したいのだ。車椅子をリフトでバスに乗せて、いざ出発。現地の人が行くショッピングモールでお買い物。
ツアーの最初では「僕、最終日のショッピングは行かなくてもいいんだけどな〜」なんて言っていた榊原が、帰ってきたら大変な荷物を持っている。
「どうしたの?」
「あの、OXOのグッドグリップスの製品が、ごく普通の値段で売っていたので、つい、たくさん買いこんでしまって・・」 手にはでかいメジャーカップまで持っている。気持ちはわかるけどねえ。OXOのグッドグリップスというのは、ユニバーサルデザインの本でよく紹介されているキッチン用品で、リューマチのために料理が難しくなった妻のために開発したという、実に使いやすい道具類なのだ。
「だって、日本ではすごく高いんですよ、こんなにあるんだと思うと、つい・・・」
たぶん彼はあちこちのユニバーサルデザイン研修で使いたいんだろうな。研究熱心でよろしい。でも、お買い物なんていいもんって最初は言っていなかったっけ?
「回転寿司と同じで、目の前にくるとつい買っちゃうんです」
そりゃ人間の心理ってそんなものだろう。私だって同じだ。今回は洋服は少なかったが、やっぱりその後のパーティグッズの店ではプラスチックのシャンペングラス40個とか、紙のテーブルクロスやお皿を何枚も買い込んだ。こういうものは、日本で絶対売ってない。そしてみんなものすごく安いのだ!ああ、クリスマスの前にまたこの店だけにでも来たいくらいだ。
そして最後のトレーダージョーズ。アメリカ人ならみんな知っているオーガニック製品のお店だ。ワインや果物なども豊富だが、オリジナルブランドのナッツ、グラノラ、チョコレートなどの食品に始まり、せっけんや歯磨き粉までみなオーガニックだ。私もつい、シリアルやナッツ、せっけんなどを買い込む。うーむ、回転寿司状態だな。ふとみると、同室のYさんが、重そうにかごをかかえている。
「ねえねえ、このトマトクリームスープの缶、美味しそうでしょ!で、このポテトグラタンの素、3つも買っちゃった!」 そりゃ、確かに美味しそうだけど、これ、全部、日本まで持って帰るの???その晩、パッキングに一晩かかる大騒動になったのは、ご想像の通りである。ま、榊原はあのメジャーカップがやっぱりトランクには入らず、ずっと手で持っていくはめになり、おかげで空港職員にはバカ受けしたそうだから、人生、何が幸せの種になるかわからないものだ。