2006年CSUNツアーレポート:榊原直樹(3)
3日目
例年に比べて現地入りが1日早いので、セッションが本格的に始まる今日には時差ボケもすっかり解消されており、いい具合。快調にスタートを切ったと思いきや、いきなりオープニングのキーノートスピーチがキャンセル。この最も重要なスピーチがキャンセルだなんて、事務局は何をやっているんだ・・・。スピーカーのビザの申請が通らなかったそうなのだが、いやはや。 代わりにスピーチをしたのが、
のっけからこの調子なので、他にも細かいミスが目立ってしまう。会場が間違っていたりキャンセルになったりとほとほと困ったのである。
セッション情報1
Accessible Mobile Phone in Japan(9:20〜)
NTTドコモのユニバーサルデザインについて。らくらくホンやCTECで紹介されたタッチパネル搭載の2画面携帯、外付けのバーコードリーダーを利用した紙ベースのインターフェースの紹介など、既にサービスインしているものから開発中のモノまで広く紹介された。
Exploring Phonological Amplification Through Hearit(10:40〜)
学習障害者向けのオーディオ・サポートシステムの紹介。学習障害の人の中には音声による認知が難しいことがあるので、それを助けるシステム。単純に言えば、マイクとヘッドフォンのセット。
Workplace Accommodations for Older Workers(12:00〜)
高齢者のジョブアコモデーションに関する調査。電話調査でうまくサンプルが集まらなかったそうで、あまりいい話は聞けなかった。しかし、CSUNで高齢者をテーマにした発表はこれまでに無かったことなので、その事だけでもいい傾向だ。アメリカも移民を受け入れているおかげで総合的に見れば高齢化を退けてはいるが、白人のコミュニティではすでにかなりの高齢化が進んでいるそうだ。高齢化と障害者向けの機器の開発がリンクして、より一層ユニバーサルデザインが進展することを期待する。
Built in Ease of Access Windows Vista(13:30〜)
マイクロソフトの次期主力OSであるWindows Vistaのアクセシビリティ機能の紹介。前半後半に別れており、この前半では新たに加わった音声認識による操作のデモが紹介されている。その場で実演されたのだが認識率の高さに会場から歓声が上がった。このレベルで認識してくれれば実用的だが、漢字変換が伴う日本語の入力ではおそらくまだストレスを感じるだろう。音声認識も文字認識も日本語にはまだハードルが高い。しかし、音声コマンドによる操作は便利だろう。OSに組み込まれたおかげでWindowsの操作が全て音声で出来る。例えばマウスカーソルでアイコンを選ぶ時には画面を9分割する線が表示される。このエリアの中から、自分が選択したいアイコンがあるエリアの番号を読み上げればよい。自動的に選択エリアがスクリーン一杯に広がり、再び9分割する線が表示される。目的のアイコンを選択できるまでこれを繰り返すのだが、2,3回繰り返せば目標にたどり着けるだろう。番号を読み上げるだけだから、それほどストレスはかからないはずだ。
Making Students with Significant Disabilites Skilled Readers(14:50〜)
学習障害向けのデジタルブックについての紹介。解消したはずの時差ボケがまさに時間差攻撃で襲ってきて、熟睡。内容はほとんど覚えていない。
夜、夕食を取るためにSeafoodがおいしいレストランに10数人で出かけることに。ここも毎年利用しているので安心して食事が出来る。最後に出てくるデザートの中にはタワーと呼ばれる巨大なチョコレートケーキがあるのだが、今年はなんと一人でこれを平らげるという伝説を残すことになった。