2006年CSUNツアーレポート:今井朝子(7)
4.視察
4.1 SONY
3月21日午前には、ソニーのLAデザインセンターを訪問した。CIAJ(Communications and Information network Association of Japan:情報通信ネットワーク産業協会)のアレンジで訪問が実現した。センター内は撮影禁止であったため、残念ながらその美しさをご紹介できないが、アメリカのオフィスらしく白を基調とした広々としたオフィスで、なぜかクリスマスの電飾が飾ってある机などもあり住人の個性も現れていた。
センター内にはリビングルームが作ってあり、実際に家電製品を使ってもらうこともあるそうであるが、ユーザビリティの専門家はいらっしゃらないそうである。また、ラジオやCDプレイヤーなどのデザインを他のインテリアと合わせて販売することも実施しているとのお話があった。
4.2 GOC
3月21日午後には、オレンジ州にある障害者の雇用を促進するための施設であるGOC(Goodwill of Orange County,http://www.ocgoodwill.org/)を訪問した。GOCへの訪問は、GOCのホームページにあるメールアドレスに「日本から訪問したいのですが。。。」というメールの送信から始まった。今回のツアーの参加者は60名と非常に多かったため、ある程度の人数を受け入れ可能な施設が望ましかったが、GOCの規模がわからなかった。GOCからの返事を読んで、GOCはプロフェッショナルな組織で、役割も明確に分担されていることがわかって安心した。こちらがどのような集団であるのか?希望する見学の内容は何であるのか?人数は?何時間どこを見学するか?から始まり、40名の見学をどのようにスムーズに実施するのかといった、細かな相談にまで非常に丁寧に対応してくださった。やりとりの内容に応じて、技術の責任者であるStanlay、受け入れ責任者であるCindy、会場設営担当者など次々と担当者がメールに返信して下さった。結局、支援技術のフィッティングなどを実施しているATEC(Assistive Technology Exchange Center)には10名程度しか入れないが、就労を訓練している施設であればかなりの人数を収容できることがわかり、見学を2グループにわけることにした。実際にGOCに到着するころには、スタッフとは友人のようになっており、Cindyと私は始めて会ったにもにもかかわらず、会話を聞いていたツアー参加者から「知っている人なんですか?」と質問された。本当に素晴らしい人々と組織であった。障害者の雇用を支援するためには、プロフェッショナルな人々の組織的な結束が必要なのだと実感した。
到着してみると、大学のように広大な施設で、大きなお店も経営していることがわかった。ATECでは、障害を持ったユーザーの環境や希望を中心にフィッティングを行っていた。そのため、図 3のように様々な支援機器を体験できるようになっていた。また、数ヶ月使って気に入らなければ交換するそうで、長期的なユーザビリティにも配慮していた。
図4 フィッティング用のキーボードとAAC
ATECの外では図4に示すように、店頭に並べる中古品の仕分けを行っていた。カートごと、あるいは重さで金額を決めるそうである。見学中も、お客さんが製品を買っていた。日本ではこのような製品を買うことはあまり考えられないが、アメリカでは学生や所得の低い人はこのようなマーケットはよく利用する。私も留学中には、3ドルの古着のジーンズやTシャツをこのようなところで買っていたので懐かしかった。
図5 製品を仕分けする作業所 |
図6 GOCの入り口 |
5.全体の感想
大胆で自由で明るくてアバウトなLA気分が味わえてとても楽しかった。自分が入国審査に引っかかったり、CSUNの受付では、登録されていない学生さんが続出したため、交渉して参加用の名札をその場で沢山発行してもらったり、基調講演者が現れなかったりとトラブルもあった。けれども、受付の方はとても親切に名札を作ってくれたし、開催者のMary Annもとても親切で感激した。OOPS!も多いが、その分、交渉が容易で明るいのがアメリカである。このような開拓者精神と多様性を容認する気質がCSUNのような創造的で実用的な会議を生み出したのではないかと思った。皆さん、楽しい旅をありがとうございました! Don't sweat the small stuff and it's all small stuff!