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2005年CSUNツアーレポート:関根千佳(1)

3月15日 史上最大(?)のCSUNツアー開始

今回は最初からかなりシビアだった。納期がぎりぎりのヘビーな仕事が入っていた上に1週間前から激しい嘔吐や高熱、頭痛に悩まされていたのだ。医者の見立てでは、ストレス、風邪、花粉症の複合症状だろうとのことだった。夕方になると熱が出る。なんとか、仕事も片付け、ようやく機内の人になってからも、状況は変わらない。毛布を3枚ももらって、ミノムシのようになってがたがた震えていた。 
だが、不思議なものである。ロサンゼルスに着くころになると、今度は身体があったかくなってきた。さきほどまでの寒さがうそのように、着込んでいた毛布をどんどんはいでいって、到着した時点ではTシャツ一枚で問題なくなった。どうしたのかなあ。LAの空気を吸ったので元気になったのだろうか? 

今回はとにかく人数が多い。定員30名は、1月時点であっさり突破し、正規のメンバーだけで45人になってしまった。この他に一部だけ参加、といったイレギュラーな手配も含めると、60人くらいが今回JTBさんのお世話した対象だという。いやはや、このツアーも、本当に日本の?恒例行事になってしまったものだ。春の風物詩か? 
今回は、5歳の尚樹くんから、定年まぎわの60代の方まで、年齢も立場も幅広い。相変わらず女性が半分を占める。昨年までの参加者が、高校生と中学生の息子さんを送り込んできたり、親子での参加も3組以上ある。アットホームだし、こういった親の感動が子どもに継承されるってことそのものに、私が感動してしまう。もうこのツアーも6回目だ。最初から参加してくださっているグレートリピーターの関さんを始め、みなさんの貢献には本当に頭が下がる思いがする。 
今年は視覚障害者が一人、電動車椅子ユーザーが一人、手動車椅子ユーザーが一人だ。空港で分解して運んだ電動車椅子を、美作大の浅野くんがLAの空港で手際よく接続してくれた。大工志望の彼は、ちょっとした故障はさっさと直してしまうし、電気系統にも強い。おばあちゃんで慣れていたとかで、車椅子を押しても実にうまい。こういう頼りになるタフガイが、ついてきてくれるのがこのツアーの良さだなあ。

LAに着く。抜けるような青空だ。そう、こんな色の空を毎日見ているから、カリフォルニア人は明るいんだと信じていたことを思い出す。くよくよしたって始まらない。今日もいい天気だ!と、アフターファイブも、ビーチでの釣りや安いパブリックゴルフに行っていたっけ。人生を楽しむことを教えてもらったのがロサンゼルスでの生活だったなあ。 
マリナデルレイのいつものレストランで昼食、サンタモニカのビーチへ行く。みんな、やっと少し緊張が解けてきたようだ。ちび尚樹はおにいちゃんの肩車でご機嫌だし、みんな楽しそうだ。

写真:ちび尚樹は肩車でご機嫌 写真:緊張が解けてきた様子

ビバリーヒルズを抜けてチャイニーズシアターへ行く。携帯電話に手書きできれいな絵を描く屋台が人気だ。見ているとあっという間にきらきらしたスパンコールまでつけて、世界に一個だけの携帯電話ができあがる。日本でも人の集まる場所ではやっているんだろうけど、なんだか、これって、ネールアートの人の副業かなと思える。

写真:絵を描いている様子 写真:きれいに描かれた携帯電話

次に巨大なスーパーでお買い物をして、夜の宴会に備える。大量のお酒、つまみを買い込む。私も個人用に水とバナナ、クロワッサンなどを買い込んだ。ちび尚樹の姿が見えなくなって、母親と一緒にあせって探す。アメリカのスーパーは、個々の陳列棚が高いので、小さい子どもがうろうろしても見えないことが多い。結局、なついていた浅野にいちゃんと一緒だったことがわかってほっとする。5歳児には、優しいおにいちゃんおねえちゃんがいっぱいいて、結構楽しい環境のようだ。 
コンファレンスのレジストレーションも、45人いるとかなり大変だ。学生さんたちが、展示会のみの申し込みになっていると聞いて、なんだかすごくもったいなくなってくる。一日券だけでもいいから、参加したら?ここまで来ておいて、何にも出ないのはもったいないよ。せっかくアメリカの学会の雰囲気も味わえるんだし。ちょっと強引に参加させてしまった。予定外のお金使わせてごめんなさい。でも、なんだか、君たちの未来を考えると、見ておいて欲しかったんだ。セッション会場を埋める盲導犬ユーザー、合成音声装置でばんばん質問する重度障害者、必要に応じて会場で的確な情報保障をする手話通訳者の技量、手話で熱い議論に参加する聴覚障害者、、、、あの、息詰まるような内容の濃い議論は、セッションに参加しなければよくわからない。あの雰囲気を知ってほしかった。たぶん、日本にいたら人生の中で二度と見られないかもしれない光景なのだ。支援技術を駆使し、技術や法律に詳しい障害当事者が、企業や政府の担当者と激しい応酬をそこかしこでしている。いや、これを日本で見られないなんていうのはよそう。ここに来ているCSUNメンバーが、いつかは日本で、このような光景を創り出す原動力になるのだ。そのためのツアーなんだから。 
夕方はコンファレンスのレセプションに行く。ちょっと出遅れて、食事にはありつけなかった。ケーキだけで夕食が終わる。まいいか。なんとなくだが、今年は毎年と雰囲気が違う。世界銀行のジュディ・ヒューマンやWIDにいたデボラ・カプランなど、障害者団体の代表が少ない。部屋の真ん中に椅子席があって、なんとなくあっちとこっちが隔てられているようで、ちょっと寂しかった。で、Harry Murphyの姿は見えるのに、やはりBud Riserはわからない。彼がいないCSUNは、結構寂しいものだなあと実感する。Harryの後を、この数年間、あんなにCSUNを盛り立ててくれていたのに。いったい、どうしちゃったんだろう。その後、CSUNのみんなに聞いてみてわかった。昨年6月に転職したんだそうだ。なんだか、彼と会えないというのは、せっかく何十人も一緒に来た私としては、少しさびしい気がしてならない。でも、後任のPrager女史とつながりもできたし、ま、これからに期待しよう。 
夜は恒例のJTB部屋へ。やっぱり30人もはいると暑い!この日だけは、全員が自己紹介をした。いいことだ。


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