2003年CSUNツアーレポート:国保祥子(3)
セッションの感想
ROLE MODELS FOR YOUTH WITH DISABILITIES: EXPANDING EXPECTATIONS ABOUT EMPLOYMENT AND CAREERS
障害者の就労を促すためのツールとして、実際に様々な現場で活躍している先輩のインタビューをDBにした「Role Model」のデモ。
なぜこの職を選んだのか?この道を選ぶにあたってあなたの障害はどう影響しましたか?等々インタビューが非常に良く出来ており、またケースとして取り上げられている人達が魅力的でした
。個人的にもRole Modelの意義を深く感じていたときだったので興味深く、翻訳して日本で出したいなあと考えながら見ていました(でもアメリカのケースが日本で売れるでしょうか?)。
自分自身が転職活動をしたときにも感じたことですが、世の中にどのような仕事があるのかが分からないと、自分のしたい仕事がイメージしにくく、またそのた
めにはどういった努力をすれば良いのかが分かりにくいのです。さらに障害を持っている方は、どういう仕事なら物理的に可能なのかという要素が加わるのでよ
り困難だと思います。そのときにこのような様々な分野で働いている先輩方の話というのは、非常に有意義だと思うのです。
またインタビューに答えている人の中に事務の女性がいたのですが、彼女はその仕事についた理由を尋ねられて「なんとなく」と答えていました。彼女のこの自
然体は、明確な目標に向かって突き進んでポジションを得た特別な人ばかりではないのだ、これなら自分にも働くことが出来るかもしれないという気持ちを与え
ます。このような一見普通の事例というのも大切なのだと感じました。参加者からは、このRole
Modelを使って就職した人が今度は自分が語る側に回るなどして、ケースをどんどん追加していくべきだ、という建設的な意見が出ていました。
DEVELOPING AND IMPLEMENTING JOB TRAINING AND PLACEMENT PROGRAMS FOR INDEPENDENT LIVING CENTERS
就労支援センターの方法論。就職したい障害学生を見つけて巻き込み、就職先を開拓して就労させるための方法やポイントを説明していました。学生を得るのも、企業を得るのも、受動的ではなくこちらから能動的に動きましょうと言っていました。
特に印象的だったのが、障害を持つ人の就労先の開拓方法として「30秒Elevator
Talk」が有効であるという話でした。要は些細なきっかけから顧客のニーズを掴み売り込みましょうということですが、案外キーはそういうところにあるの
かもしれません。このセッションで発表されていたような方法論のようなものが確立されれば、それをテンプレートとして展開していくことで心理的・物理的
ボーダーが軽減されるのではないかと思いました。
この2つに共通していたのは、障害を持つ学生やその周りの人間は、その学生の価値を本来より低く見積もりがちだという見解で、自分に自信を持つこと の大切さを話していました。それは真実だと思います。自分に自信が無いと就職・転職活動は苦痛であるし、自分でも自信が無いくらいなので先方が認めてくれ る訳が無く、結果としていいポジションを得ることも出来ません。 自信を持つというのは、簡単なことではありませんが、一方で仕事が自信を与えてくれるというのも事実です。だからこそ私は就労を促進したいと考えていま す。 結局、何かのきっかけで仕事を始めてそこで認められることで自信をつけ、そしてさらにハイレベルな仕事にチャレンジして・・・の繰り返しなのだと思うの で、このスパイラルに上手く乗せる方法を考えたいものです。今後の課題です。