2003年CSUNツアーレポート:国保祥子(1)
ツアーの感想
今回、初めてのCSUNツアー参加でした。このツアーに参加するにあたり、個人的に持っていたテーマは障害者の就労でした。 何らかのハンデはあるものの適性を供えた人材が、1ビジネスパーソンとしての任務を果たせるようなシステム(教育や組織体制、アコモデーションも含めて) の構築、そしてその推進のために自分に出来ることは何か、というのを模索しているのです。 問題の多くはシステムでカバーすることが可能ですが、ではどのようなシステムを作ればよいのか等々、今までの経験を通じて自分なりに課題の切り分けをして いましたが、果たしてその見解は正しいのか、またその解決策や参考になるアイデアはないか探そうと考えていました。そしてもうひとつの目的は、多様な人に 囲まれた環境を味わうこと!Diversityを愛する私としては、盲導犬や車椅子で溢れている会場なんて聞いただけでわくわくしてしまいます。
さて今回のツアーは3/18、ブッシュの事実上の宣戦布告スピーチが行われた日に出発でした。 そのために直前のキャンセルや途中帰国する参加者もいましたが、スーツケースを開けて中身を調べられたこと以外は特に問題なくLAに到着しました。午前中 にホテルに到着したため、チェックインまでの時間を稼ぐために市街の散策に。 LAの海はものすごく綺麗です。気候もドライで過ごしやすくシャツで十分ですが、日差しが強いためサングラスは必需品です。その後The WAREHOUSEというレストランでランチをとりました。ハーフポーションであるにも関わらず大きすぎるステーキがサーブされ、ああアメリカに来たのだ なあという気分になりました。 そしてUCLA見学とスーパーマーケットに。ツアー中は毎晩飲み会が開催されるため、そのための買出しが主な目的です。朝食無しツアーの学生さんは食料品 を購入していました。私は水と大好きなSeedless Grapesを入手。 時差ぼけで眠いものの、この日の夜はレセプションに参加してCSUNのCenter on DisabilitiesのディレクターであるHarry (Bud) Rizerさんにご挨拶しました。立食パーティ会場に盲導犬がたくさんいるという状況なのですが、さすが皆さ ん行儀がいいですね。犬好きなので撫でたい衝動を抑えるのが大変でした。ちなみにアメリカの盲導犬はシェパードが多かったです。
ところでレセプションの席で書籍「アクセシブルテクノロジ」(日経BPソフトプレス、http://www.microsoft.com/japan/enable/news/book.asp) にも取り上げられているHPのマイケル・タケムラを見かけました。 うわさに違わずハンサムな車椅子ユーザーですが、驚いたのは一見して仕事もマネジメントもできるという雰囲気を漂わせていることでした。 今までの社会人経験の中で、私が尊敬しているビジネスパーソンとはマネジメントの上手い人達です。というのも自分で仕事をするよりも人を使うほうが難しい うえ適性が如実に出るからなのですが、人を使うのが上手い人はほぼ例外なく人間的魅力に溢れていると感じます。障害の有無以前にそのような人間としての魅 力を感じた時点で、私はこの人の下で仕事をしてみたいなあと考えていました。また彼のような人がたくさんいたら、日本のビジネスシーンは明らかに変わるで しょう。彼のようなスキルのある人の市場価値は高いのでヘッドハンターから引っ張りだこになり、企業も彼を迎え入れるためなら喜んでオフィスを改装するで しょう。 そして彼がヘッドハントされて会社を転々としていくたびに、後にはアクセシブルになった職場が残されていくのです。 それも面白いかもと思うと同時に、彼のような人が育つ環境の重要性を感じました。しかし緊張してしまった私は迂闊にも自己紹介をする機会を逃し、後に後悔 したのでした。