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Session-5

Access for ALL: Using HTML and PDF to accommodate the disabled

Adobeのセッション。
かなり進んでいる。政府などで利用されることの多いPDFのアクセシビリティ確保はこれまでも悲願であったが、6.0からは完全に日本語もアクセシブルに なるという情報だった。5.0でも、著作権などの理由でロックされているファイルも、スクリーンリーダーでは読めるというが、日本でもそうだったろうか? 確認が必要だ。
また、日本でのPDFの読上げに関しては、榊原の話では、MSAAに対応しているPCト-カーや98リーダーは問題ないが、HPRではできないということ であった。だが、JAWSは対応していないといいつつ、読めるそうである。アドビも、もう少し本腰を入れてアクセシビリティ対応状況を把握すべき時期に来 ていると思われる。

なお、この件に関し、榊原からコメントが追加された。
Acrobat5.0では現在発売されている次のスクリーンリーダに正式に対応している。(2003/04/15)
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/solutionsacc.html
  • PCトーカー5.0、PCトーカーXP
  • 95リーダー4.5
JAWSでの読み上げはVer.3.7で試した結果であり、すべての条件をテストしていないので、一部に制限があるかもしれない。 なお、最新版のVer.4.5では対応しているとのこと。(榊原談)

しかし、実際にはタグ付きPDFなどどこにも存在しないという説もある。 機能としてアクセシブルになっただけでは、情報アクセシビリティが確保されたとはいえない。アクセシブルWebと同じで、コンテンツも変わらないと いけないのである。HTMLと同様に、長くてつらい道のりが始まる。厖大なこれまでのバリアフルな資産を、どうやったら「バリアフリー」にできるのだろうか?

The Information Technology Technical Assistance and Training Center(ITTATC)

Jimのセッション

Jim Tobias がUDやATに関する企業や官公庁への教育カリキュラムを説明していた。障害とは何かに始まり、UDやATの基礎的な概念、508条や255条の概要、マーケティングに対する意味付けなどを総合的にまとめたものである。
ここには、NIDRRやTrace Centerなど、米国国内の主な機関が相当参加しているので、効率的にアクセシビリティが学べる良いコースだと思っ た。最後に彼に日本から持ってきたおみやげを渡して少し話したが、一部は日本語訳も始めているというし、いつか、E-Learningにしたいものであ る。彼と少し話し合ってみよう。

Accessible Online learning at the Open University UK Using XML and Java

Open University のアクセシビリティへの取り組みである。
Open Univ.は昨年英国で話を聞いていたので、それほど目新しく感じなかった。むしろ、アクセシビリティの重要性に今ごろ気づいて学生からデータを集めているというのが、少し奇異に感じるくらいだった。 昨年訪問した時点でさえ、DDA(英国の障害者差別禁止法)が教育を含むことになったため、オンラインコースもすべてアクセシブルでなくてはならず、修正が大変だという担当者の話を聞いていたためである。
しかし、考えてみれば、世界に12万人も受講者のいるこの巨大なオンライン学習組織が、すべてアクセシビリティを理解するのに時間がかかっている証拠でも あり、遅々とではあっても進んでいるということなのだと納得した。主にオンラインのコースである彼らの授業を、JAVAやXMLを中心に開発しているとい うのは、なかなか楽しみである。
翻って、国内の大学や企業のE-Learningでは、そして放送大学の放送内容では、アクセシビリティの確保というのは重要課題になっているだろうか?帰国後の宿題がまた増えた気がした。 


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