セッション-2
Exploring Accessible Interface Strategies for Cell phone
Greggが行った次世代型携帯電話のイメージの発表であった。
30分の短いセッションだったため、最初の方はシニアや障害者の、携帯電話の利用に関する問題点の把握で、あまり目新しいものがないように思えたが、最後の方では、シニアが使いやすくなるためのアイデアがいろいろ出てきて、なかなか面白かった。
一発でそこにしかかからない機能、開けたら話せて閉じたら切れる機能、ボタンの内容の画面でのフィードバック、画面をタッチディスプレイにしてたとえば4
時箇所にしかかからなくする機能など、取り入れることは可能なのではないかと思えるものも多かった。これまで彼がJim Toviasなどとずっと行って
きた携帯電話のユニバーサルデザインのワークショップの中で出されたニーズや解決策をまとめて提示したものと思われる。
私が日本で行ったシニアの意識調査でも、どうして開けたら話せて閉じたら切れるというふうにならないのか、とメーカーに詰め寄ったおじいさんもいた記憶が
ある。しかし、アメリカではらくらくホンIIなどはまだほとんど知られていないようで、もう少し日本からの情報発信が必要だということは今回も痛感した。
3つボタンに音声読上げ、大きなボタンに見やすい画面など、UDの要素がふんだんに取り入れられた製品なのだが、そういった内容は世界にはまだまだ発表さ
れていないのである。6月のHCIではこういったものをまとめるだけでも意味があると思う。
Standardization of IT accessibility and International perspective
中村先生の発表した日本の状況である。
日本のJIS化の状況を伝え国際協調を要請するものであったが、内容的はダブルバイトコードの問題点の指摘や情報そのものが内包するバリアに関するものが
多かった。参加者の関心はやはりWebアクセシビリティの標準化に集中していたようだ。
こちらとしては508もWAIも、どっちも見て、かつ日本などダブルバイトコードに特有な課題も追加するという基本スタンスは変わっていないのだが。。し
かし、ISOに出そうとしているとはいっても、それはまだIT機器のほうであり、Webのほうはどうなるかわからないと思っている。
日本として、ISOも取るつもりだ、という脅かしをするのは、今の時点ではあまり得策ではないような気もする。まだJISの仕様も、日本国内へのアウト
リーチの方向付けも、508のような調達仕様も、何も決まってはいない。JISがどこまで本当に公的機関や企業に対して拘束力があるものか、実際にアクセ
シブルでないWebをアクセシブルに作り変えるインセンティブを説得できるのか、何も明確にはなっていないというべきだろう。
日本でも、WAIの正式なメンバーをこの委員会に参加させ、ISOとしても耐えられる内容で出すべきではないのかと思う。ただ、508と同じで、どこまで
WAIにコミットできるかは定かではないが。。。この問題は山田、中村両氏がニースの会議から戻ったらもう少しまとめて議論したいと思う。