3月18日 ツアー初日からハプニング!
今年も出発ぎりぎりまでパソコンの設定に追われた。新しく買ったVAIOは、軽くてスペックも申し分なく、それなりにいいのだが、どうも動作が安定しない。さっきもWinMEの画面が出た瞬間に固まった。なかなかこわいものである。実は行く前からひやひやものだった、海外ローミングも、なんと日本ではできていたはずの認証が効かないという悲しい状態である。これから3週間、メールのない世界で生きるのだろうか?それはうれしいような、しかしとっても恐ろしい状況である。
こんな事態になったのも、2年半酷使したシャープのメビウスが過労死したせいだ。愛用していたがさすがに移動距離や稼動時間が長すぎたのか、先日、目の前で電圧が下がり、二度と電源が入らないという結果になった。修理には一箇月かかるといわれ、出張の1週間前にあわてて買いに走ったPCがいまのVAIOなのだ。
設定などはすべて前のメビウスにはいっていた。おぼろげな記憶や怪しいメモ書きを頼りに、なんとかいろいろな設定を行ったものの、今ひとつ環境に自信が持てなかったのは、前の設定自身が、かなり不安定だったからだ。
やっとLAに到着した。が、不安は的中し、海外ローミングサービスはどうやってもつながらない。さて、これからの3週間、ネットなしで生きられるだろうか?問題は起きないだろうか?いや、無くても生きられるのだと証明することのほうが、わたし的には幸せかもしれないのだが。。。
加美山さんと近所のコンビニに買出しに行き、水やワインを買う。彼はどうも時差のためかいつもの元気がない。一眠りしてもらって、その間、わたしは、加美山さんのPCでDIONにサポート依頼のメールを作っておく。
夕食のために前回、加美山さんがお気に入りだったSun&Moon Cafeに向かう。タクシーの運転手は陽気で明るい。どこから来たの?おお、日本!何時間かかった?僕はアフリカから来たんだよ。15時間もかかったんだぜ。。。
Manhattan Ave.と、Manhattan Beach Blvd.を間違えて、一生懸命になって地図で探してくれた。少しチップをはずんで気分よく降りた。夕焼けの海がきれい。。。!!!!!! そこで気がつく!どうしたことか、わたしのハンドバッグがない!大きなバッグと革のジャケットの下に、さっき、落とさないように肩紐を確認したばかりだったのに! Sun&Moon Cafeへ直行し、電話を借りる。さっきもらったYellow Cabの電話番号だけが頼りだ。でも、車両番号も運転手の名前もわからない。「すみません、アフリカから来たって言っていたんですが」「うちにはアフリカから来た運転手はたくさんいるんですよ。とりあえず無線で聞いてみますので」
久しぶりにタンちゃんや淳子に会っているのに、動転してしまってメニューも目に入らない。あれにはクレジットカードとCitiBankのカード、運転免許証にキャッシュのすべてが入っていた。あ、トランクのキーもかな、だったらチケットやパソコン、パスポートにもアクセスできない。サムソナイトに電話して開けてもらわないと。。。しかし、今後の旅程はどうしよう。日本円は5万しかない。果たしてクレジットカードなしで間に合うか?誰かに借りることは可能か?いろんな思いが湧いてくる。買ったばっかりのハンドバックだったし、中にはこれも買ったばかりの名刺入れが入っていた。みんな、私には縁がなかったと思うべきなのだろうか?いや、わたしには、それがまたわたしの手にあるような気がしてならない。なんとなく気もそぞろで、外が気になってしかたがない。そうしているうちに、向こうからYellow Cabがゆっくりと近づいてくるのが見える。Sun&MoonCafeのそばにとまる。なんとなく見覚えのあるような気のする真っ黒なドライバーが何か手にもっておりてきた。。。。
わたしはドアを破るようにして飛び出した。彼に真っ直ぐ走っていって、HUGした。彼もものすごく嬉しそうだった。そのまま何も言わずに立ち去ろうとする。せめて名前だけでも教えて、というとSamだよ、と言い残していってしまった。
後になって、チップをわたせばよかったのにと思ったが、なんだかお金を渡す雰囲気ではなかったような気がする。15時間かけてアフリカからやってきたという彼、この地で、まっとうに働いて生きていこうとしている彼。その誠実さが伝わってくる。移民の多いカリフォルニアの力の源泉。アメリカは、本当は怖くなんか無い。人間は本質ではそれほど変わるものではない。ひとりひとりは、とても優しいのだ。
この日は豪遊した。ワインも、タンちゃんのベトナム料理も、すごく美味しかった。