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4月3日 CHI本会議

オープニングでのBill Gates

今日からCHIの本会議である。オープニングではBill Gatesが来るので、会場は黒山の人だかりであった。運良く、いい席に座れて、よく見ることができた。昨日、Bonnieたちが、彼を BILLG または Uncle Billと、親しみをこめて呼んでいたのを思い出した。実際に会うと明るくいい人らしいが、レビューは峻烈を極めるそうだ。これはトップとしては当然のことだろう。外資系の厳しい会議を思い出す。10年ほど前、NYに初めて出張したとき、ものすごくつらかったな。。。日本とはまるっきり違う文化。ロジカルにアグレッシブに、相手を説得すること。ブレーンストーミングから時間内に結論をその場で出していくやりかた。根回しや腹芸とは無縁の世界。厳しいけれど、なんだかすっきりしていて好きだった。

などと考えているうちにBill Gatesの話が始まる。ユーザビリティやアクセシビリティの話もしっかりしてくれた。Anyoneという感覚が、彼にはよくわかっているようだ。その後、新しい製品の紹介に入る。Windows XPで動くTablet PCは、手書きの紙をすべてPCに置き換えて行こうという話である。彼らは、本やノートなど、紙という文化からデジタルへとどんどん変わっていく世界を提示していた。コンセプト自体はMacで10年前からあったものだが、ハイパーテキストが洗練され、XMLでデータが自在に受け取れるようになればまた新しい地平が開けるだろう。電子媒体がその人に合わせた形状にデータを柔軟に変えていくという未来像は、次第に現実のものになっていく。また.com企業から.net企業への意識変化も、明白に打ち出してきていた。

ま、私としてはこのようなコンセプトが実現レベルにあるというのは十分に面白かったが、参加者の評価はさまざまだったようだ。自分の会社のことしか話さなかった、もっとヒューマンインターフェースについて話してほしかった、等々。
午後からセッションが始まる。セッションには、フルペーパーを発表するPaper, ショートペーパーを発表するShort Talks, パネルディスカッションを行うPanel, デモンストレーションが中心のDemos,それに共通の関心を持つメンバーの集まりSIG(Special Interest Group)がある。8個もパラレルセッションが走るので選ぶのがなかなか大変だ。CSUNのように、大学や研究所、または発表者の名前で、何を話すかほとんどわかっている会議と違い、内容がいまいちわからない。はずれるかどうかは賭けみたいなものだ。ま、これはCSUNでも最初はそうだった。7年も行けばわかるようになるだろう。

デモ会場のSamsungは携帯電話の歴史を説明

ショートペーパーの方がいろいろな議題があってわかりやすい。しかし、学生の発表も多く、中味は玉石混交といえるかもしれない。学生の発表でも非常に面白いものもあれば、大企業の研究所でもつまらないものも多い。私自身、ヒューマンインターフェース全般に詳しいわけでもないので、初めて聞く内容も多い。Anyoneと名づけられたUniversal Designのセッションは、視覚障害者のHapticsを扱っていたがイマイチ話が古く、視線入力などもすでに製品化されているものよりコンセプトは新しくても実現可能性がどうだろうと考えてしまったりして、どうも批判的な目で見てしまう。CSUNから直接来たためにどうしても較べてしまうのだ。いかん、ここは学会なんだから、と自分に言い聞かせるものの、当事者からの鋭い批評に常にさらされ、実用に耐えうるもの、本当に使える技術しか生き残れないCSUNの潔さがなつかしいのも事実だった。あの会での発表が、査読も無く学会としての権威はないという話を聞くと、科学技術の権威とはなんなのか、また考え込んでしまう。 夜のレセプションは、航空博物館で行われた。飛行機が好きな人には最高の環境なのだろう。熱心に展示を見る人も多い。全員参加なので食べ物を取るのも大変だ。しかしアメリカではよくこんな博物館や美術館でパーティをするなあ。展示品に飲み物をぶっかけるような酔っ払いは出ないことを前提にしているのだろう。学会の品位を感じる。ほとんどを慶応の安村先生や沖電気の竹内さん、ノーバスの池田さんなどと話して過ごした。じゅうたんにこぼすといけないから、と、赤ワインがないのが寂しかったが、これは理解できる。UD国際会議などで何度もあっていたシャーリーに教えてもらった地元のビールがとても美味しかった。


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