4月2日 MS Usability Lab 訪問
朝から超豪華な顔ぶれのセッションが続く。Microsoft研究所のMary Czerwinskiは、Webデータを3次元で見せるテクニックを披露してくれたし、W3Cの創設者としてもはや伝説となった感のあるTim Berners-LeeはMITからリモート出演で参加し、今後のW3Cの方針を話してくれた。なんだか、これって、Greggの顔が広いからできたってこと?ずいぶんテクニカルに細かい話もあり、全容がとらえられないものも多かった。午後は、本当は4つのチームにわかれてディスカッションをするはずだったのだが、私はMicrosoftへの訪問が予定されていたので、12時すぎには出てしまった。後からGreggに聞くととても盛り上がったそうで、少し惜しかった。でも、きっと議論にはついていけなかったんだろうと、一人反省する。
さて、MSの金子さんにPick Upしてもらって、ソニーCSLの増井さんと一緒にMicrosoftの本社であるRedmondへ行く。広大なキャンパスにきれいな建物が並び、Windowsの旗が立っているのには苦笑してしまった。
まずは、Usability Labを訪問する。Kent Sullivanが個々のユーザビリティLabの内部を見せ、どんな製品にどんなテストをするのか、それをどうデータ化し、フィードバックするかを説明してくれた。デジタルに落とされるデータ量ははんぱではなく、一度のテストで最大700時間も録画するという。Loging Toolは見せてもらえなかった。今後はDVDに落とし込んで、ものづくりの際の教材にしたいという計画もあるそうだ。ユーザビリティテストではとれたデータの集積や解析が必要なので、DVD化は必須だろう。ビデオをじっくり見る根気が、解析の前に必要な現在の状況は、ユーザビリティが高いとはいえない。
今後、このようなツールが一般製品として出てくることが期待される。4つの部屋のそれぞれの役割、個々のシステムの設置状況など、非常に参考になった。この数年でスタッフは140人にも増え、その背景は心理学や工学、社会学など、できるだけ多岐にわたるようにしているという。日本のユーザビリティラボがかなり絞られたデザイナーなどだけで使われていることが多く、この点の意識の差を感じた。製品にもよるが、高齢者や障害者を呼ぶことも多いという。その際はアクセシビリティのチームと協働することもある。障害者や高齢者の心理、身体機能の専門家がこのような場所には必須とされる日は日本でも遠くないかもしれない。膨大な市民モニターの登録者はDBで管理され、必要に応じて依頼するシステムができあがっているとのことだった。
その後、アクセシビリティのマネジャー、Bonnie Kearneyに会う。アクセシビリティのチームは12年前のGreg Lowneyを「祖父」として始まったが、今では40人を越える大所帯だ。今の組織図、ミッション、今後の方針などを聞いた。MSAAの進化、個々の製品のアクセシビリティテスト、508条対応、メインストリーム製品への意識改革など、多くのことを行っている。少し意地悪をして、なぜFrontPageがアクセシブルなhtmlを吐き出してくれないのか突っ込んでみた。彼らもトライはしているようだが、なかなか主力製品のUD化は実現までいたらないようである。しかし、かつてに較べて、アクセシビリティへの社内での認識はかなり高まっているようであり、社会貢献ではなく、当然の機能として考える部門も増えてきているとのことだった。508条の影響はかなり大きいようだ。ま、連邦政府のパソコンはほとんどすべてがWindowsなんだから、もう対処せざるを得ないのは当然である。
この機能が508条準拠、と政府に対するデモを行ったり、さまざまなロビー活動がおそらくワシントンでは繰り広げられていることだろう。CompaqやUnisysのアクセシビリティ担当者も、当然彼らは熟知していた。協調して6月21日以降に備えて万全の体制を引いているという印象であった。
最後にMS MusiumとMS Shopに行く。Musiumでは増井氏がピアノの腕前を披露してくれた。ShopではEncartaがたった10ドルだと感動し、彼は何枚も買う。いいけど、英語版だよね。。。。