4月1日 CHI2001 プレセッション 障害者と科学
アリゾナを出た翌日から、早速、厳しいセッションが始まる。朝8時半にCHI2001の会場へ向かった。今日から2日間、State of Science Exchangeと呼ばれるセッションに参加する。
これは、Gregg Vanderheidenが主催したワークショップで、40名の少人数で障害者支援技術について情報交換をしようというものである。最初にかなり長い自己紹介で何をやっている人間か説明し、それから個々の発表を行う。今回、私はオブザーバー出席ということでPaperを免除してもらった。実際には、40名のうち、発表できるのは数人である。もともと参加しているメンバーもすごい。CSUNで会った人で3分の1は占められるのではないか?アクセシビリティコンサルタントのJim Tobias, 米国国勢調査機関のBill Laplant,それにJuttaなどのToronto大学チーム、JudyはStanfordから、MicrosoftのGreg Lowneyも来た。IBMからは今回、アクセシビリティ部門ではなく、研究所などから3人が参加している。Sun Microsystemも同様だ。アメリカはどこのITメーカーも、基礎研究の一環にアクセシビリティを重視しているのだということを改めて理解する。イギリスやスウェーデンなどヨーロッパからの参加者も多い。Dundee大学のAllan Newell先生が来ていた。折り畳みキーボードと私のVAIOのどっちが入力しやすいかで議論する。Trace Centerからは Chrisなど、5人もいた。ATやUDの専門家と、人間工学やユーザビリティの専門家が各人の問題をすりあわせようというのが今回の趣旨である。
議論は最初から白熱した。どの発表も質問や意見が相次ぎ、マイクが飛び交う。私も何か言いたいのだが、とても議論の速度についていけず、口を挟めない。視覚障害者が3名、聴覚障害者が1名、肢体不自由が3名いる。彼らは実によく発言する。発言の内容はモバイル、高齢化、Webアクセシビリティなど、多岐に渡る。しかし、抱えている問題は日本と共通のところも多い。もっと海外と情報交換を、それも情報発信をしなくてはならないと痛感する。しかし、自分では発言できない悲しさ、もどかしさ!!!毎回、海外に出るたびに痛感する英語力の必要性である。
この会議では、参加者の多くは508条の圧力を感じながら、それを楽しむ余裕が感じられる。規制を逆手にとり、超えるものを作り出そうという意欲だ。実に会話の内容が幅広い。もっと私は基礎的な勉強をしないといけないなあ。人間工学、ユーザビリティ、高齢学など、多くの学問がまだ手付かずに残っている。自分の不勉強を実感するために、こんな学会はあるのかもしれない。