2007年CSUNツアーレポート:関根千佳(3)
3月19日 リハセンター訪問とAdaptive Environmentsのパーティ
今日は午前は自由時間。何人かは、フリーダムトレイルを歩いたようだ。ここも私はパスした。行きの飛行機内で、ずっと同じ姿勢を続けていたせいか、腰の調子があまりよくない。寒いのも影響があるのだろう。立っているだけでつらく、すぐ座りたくなる。だんだん、車椅子が欲しくなるのかも知れないなあ。ショッピングモールの一角に、きれいな教会があった。何人かが静かに祈っていた。ろうそくの火が揺れて、香が焚かれ、いい雰囲気だった。きっとこの大きなビルのある場所に、昔は小さな教会があったのかもしれない。コプレイプレイスには有名な教会があるが、そこまで有名でないものが、土地を譲ってビルになったのかもしれない。買い物をするのも忘れて、しばらく私も木の椅子に座っていた。
午後はSpaulding Rehabilitation Centerへ行く。ここは、ボストンの中でも有数のリハビリ施設で、たくさんのドクター、ナース、作業療法士、PTなどがリハビリに当たっている。ITを使った就労支援センターも充実しているし、最新鋭のLocomatのような機器も実際にごく普通に使われている。リハビリテーションに対し、USでは病気の治癒と同じか、もしくはそれ以上に重要と考えられているのである。専門の医師は尊敬されているし、リハビリ専門の看護士も多い(日本にいたっけ?と思ってしまう)。
ここではOzという担当者がコーディネートしてくれたが、10人近い専門家が、入れ替わり立ち替わり、自分の仕事を説明してくれた。USの病院ではこのように部外からの客に対し、説明することがごく普通に行われているようだった。日本では医師も看護婦もあまりにも忙しくて、とてもそんな時間はなさそうに見える。いったい、この差は何なのだろうと考えてしまった。夏のシーズンには、ヨットやカヌー、ロッククライミングなども可能である。次回はレクリエーションリハビリの専門家に会いたいものだ。最後に出てきて説明してくれた、ボランティア組織の代表は、大変に素敵な人であった。病院内にボランティアがいて、患者さんのメンタルなサポートを専門に行っているというのは、なんだか、羨ましかった。
日本では昨年より、本来必要なリハビリさえ一定時間だけでうち切ってしまうというとんでもない仕組みが導入され、多くの人々が機能回復できないという事態に陥っている。リハビリの本来の意図を、もう少し社会全体で理解することが必要だと思った。
夕方から今回、ボストン訪問の本命である「Adaptive Environments」のお披露目パーティに行く。うわあ、たくさん来ているなあ。AEの理事長でもある今朝のマリーを始め、AEの創立者であるイレーン・オストロフ(私が大変尊敬するUDの母である)や、この素敵なセンターをデザインした美しいデザイナー、ココ・レインズ、「私は1年間老人だった」の本で有名なパトリシア・ムーア、などなど、綺羅星のようなUDの専門家の集まりである。しばらく顔をみなかったジム・ミューラーもいる。もちろん、WGBHのラリー・ゴールドバーグも。彼とはセンターの前で会って、しっかりハグしてしまった。今、引越しの最中だという。ま、彼とはまたCSUNでもずっと一緒だしね。
所長のバレリー・フレッチャーは、なかなか顔を見せなかった。大変に忙しいのだろう。いろんな人と名刺交換し、旧友と話し、ボストン在住の日本人や日本からの企業参加のみなさんと話をしているうちに、結局、何も食べられないままパーティは終わった。ま、こんなこともあろうかと、直前に前のパブでちょっとつまんでおいたのは正解だった。(一杯ひっかけておいた、が正しいか?)
帰りにUDのコート掛けを見た。日本でもホテルで見ることが増えてきたが、高いところにもかけられて、場所を効率よく使える。日本でこそ流行っていいのになと思った。