W4A2008北京レポート(1)
W4Aとは?
International Cross-Disciplinary Conference on Web Accessibility は、そのまま日本語では、「国際領域横断Webアクセシビリティ会議」となる。しかし、一般にはもっと短く "Web for all" と呼ばれており、さらに短く W4A と書く。Webアクセシビリティに関するおそらく唯一の、そして最も先端的な研究成果を生み出している世界規模の研究会である。名称の通り、工学・情報分 野だけでなく、文系的な研究も受け入れる横断的な研究を受け入れている。2004年に始まったこの会議の第1回のプログラムを見ると、まだノウハウの紹介 といったレベルにとどまっていたように見えるが、最近ではアクセシビリティの定量評価研究が発表されたり、被験者を使って評価した「研究」といえるような ものが増えてきている。
ステアリングを握っているのは、英国マンチェスター大学のCarole Goble、Simon Harperの両氏とその弟子であるYeliz Yesiladaさ んだ。このチームで、Webのメタデータによるアノテーション付けなど、いくつかの研究成果を出しており、Yeliz YesiladaさんはSimon Harper氏の研究室でWebアクセシビリティを博士論文に、Ph.D を取得した生え抜きである。もちろん、日本からは日本IBMの浅川智恵子さん、高木啓伸さんや東京女子大学の渡辺隆行教授もプログラム委員に名を連ねている。W3C/WAI関係者、たとえば、Michael Cooper氏やBecky Gibson(IBMの人だが、WAIのメンバーとしてもよく知られている)などの名前も見つけられる。
W4Aは単独の研究会ではなく、International World Wide Web Conference (WWWC) と同時開催である。そのため、世界中からWeb関係者が集まっていて、W3Cの関係者も当然ながら集まってくる。CSUNカンファレンスも人に会うのにはいいけれど、Webアクセシビリティに特化して考えると、W4Aも外せないのだ。
というわけで、今回はWebアクセシビリティの最先端研究に触れるために、今何かとお騒がせの北京に出張することになったのである。最新の面白い研究をこのレポートで紹介したいと思う。
余談だけれど、これを書いているのは実はまだ成田。上がっていた雨がまた降り出した。傘を忘れてしまったので、北京が晴れていることを祈る!祈る!