関根千佳の履歴書
長崎県佐世保市出身 3歳のときに先天性股関節脱臼の両足固着がみつかり、2年かけてギブス装着、リハビリの末、5歳で奇跡的に回復。小学・中学・高校と、文芸部長を3度務める。2010~2011年に手術を行い両足とも人工股関節に。
1981年
- 九州大学法学部法律学科卒。同年、日本IBMにSEとして入社。 ITがわからず苦労するが、企業のトップ向けソフトウェアの開発を通じて、アクセシビリティ・ユーザビリティの重要性に目覚める。
1987年
- 連れ合いの赴任に伴い、IBMを休職して米国ロサンゼルスに約2年間滞在。市内や大学で出会う多様な年齢・障害・環境の人々や、女性の活躍に驚き、日本との差を痛感する。当時、日本では女性の部課長もまだ少数で、交通バリアフリー法もハートビル法も存在しなかった。
1993年
- トップに直訴し、IBM SNS(スペシャルニーズシステム)センターを開設。以来、高齢者・障害者のIT利用技術について、年間数千件の相談に応じたり、新製品の企画/販売支援を行う。
1994年
- 障害者とエンジニアをつなぐパソコン通信、People福祉工作クラブを開設(2001年まで)
1995年
- 障害者支援技術のWeb上のDB、こころWeb を開設し、業界内の情報化を推進。当時、月間30万以上のアクセス数のある人気サイトであった。
1998年
- 日本IBMから独立し、株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)を設立。代表取締役社長に就任。
1999年〜2000年
- インターネット博覧会(インパク)において、熊本パビリオンを監修。テーマはユニバーサルデザインで、潮谷知事、多くの熊本市民、メディア関係者と協働作業を行った。
2002年
- 岩波書店から初の単著『「誰でも社会」へ』を出版。慶応大学の入試問題や論文課題にも使われている。
2002年〜2005年
- 文部省科学技術振興調整費「文理融合プロジェクト(通称やおよろずプロジェクト)」にユーディットが参加。ユビキタス情報社会のライフスタイルデザインのチームで、高齢化する地域の情報化やICTに必要な機能を研究する。
2005年
- やおよろずプロジェクトの成果を小説の形にまとめ、地湧社から「スローなユビキタスライフ」として出版。201X年のある地方の温泉地を舞台にしたもので、中高生や一般市民、自治体職員にはユビキタスの入門書として、また先端技術の研究者にはユニバーサルデザインの社会を知る本として読まれている。
2010年
- 日本生産性本部から「ユニバーサルデザインのちから」を発刊。新入女子社員、神埼柚衣(かんざき ゆい)さんの視点を通して、社会の中のユニバーサルデザインを発見したり、UDでないものをどうすればいいか、考える物語形式の前半と、それを補完するUDの基本理念、背景、法律などをまとめた第二部から成る。UDの入門書としても、最適。(これは2016年の慶應義塾大学の入試問題となり、その後、多くの参考書に掲載される。)4月に園遊会に招かれる。この頃からジェロントロジーへの関心が深まる。
2011年
- この年、両足とも人工関節に。障害者手帳一種三級となる。
2012年
4月から同志社大学政策学部 大学院総合政策研究科 ソーシャルイノベーションコースの教授として、京都に赴任。これまでは各地の大学で集中講義をすることはあっても、全部の講義を毎週行うという経験がなかったので、全く新入社員になった気持ちで取り組んだ。人生の中で一度は京都に住んでみたかったので、自分としては本当に嬉しかった。単身赴任も初めてなので、置いていかれた連れ合いの「自立支援」になり、家事のちからが向上する。
同志社の授業では、ユニバーサルデザイン、ジェロントロジー、ソーシャルインクルージョン、ソーシャルビジネスなどを、多様な市民、行政、企業を巻き込んで授業を進める。「逆インターンシップ」と呼ぶ手法で学生が問題発見・解決・提案を行う方式は、経済産業省「社会人基礎力を育む授業30選」に選ばれた。
2017年
3月で教授を退任し、9月から同志社大学政策学部 大学院総合政策研究科の客員教授として、京都へ月2回通うことに。東京では2020年のオリンピック・パラリンピックに向け、さまざまなユニバーサルデザインのプロジェクトにかかわった。
2023年
3月で客員教授を退任し、研究室を閉じる。4月以降は、放送大学・美作大学の客員教授、東京女子大の非常勤講師として各大学で講義をする他、各地で講演や特別講義を行っている。ユーディットとしての仕事も継続中。
2022年までに終了した主な委員会
- 内閣府(国民生活審議会総合企画部会)(バリアフリー・ユニバーサルデザイン功労者表彰審査委員会)
- 国土交通省(国土審議会政策部会、半島らしい暮らし・産業創生調査事業審査委員会 離島振興の委員会、営繕部会等)
- 経済産業省(情報バリアフリー委員会、標準化調査研究委員会、観光情報委員会等)
- 総務省(情報通信行政・郵政行政審議会、同有線放送部会部会長代理、情報通信審議会、同政策部会、同技術部会、ITU-T,ITU-R部会、ネットワークヒューマンインターフェース研究会、情報家電研究会、公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会、多文化共生研究会、他)文部科学省(ミレニアムプロジェクト審査委員、高校教科書 情報C シラバス策定委員他)を始め、多くの情報通信やユニバーサルデザインの委員を務めた。
- 自治体においては、熊本県インパク監修、九州21世紀を考える会委員を始め、熊本、静岡、岩手、埼玉、東京、神奈川、岡山、佐賀、福岡などのユニバーサルデザイン委員を歴任した。この他、各自治体において助成金審査やCIO選出、ITやUDに関する委員を務めた。
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2022年までに終了した主な大学講義
- 同志社大学 大学院 総合政策科学研究科 ソーシャルイノベーションコース 12~17年教授 17~22年客員教授
- 金沢大学 教育学部
- 新潟医療福祉大学 義肢装具士科
- 京都大学 医学部 医学コミュニケーション
- 神戸大学 保健福祉学科
- 大阪大学 工学部
- 東京大学 工学部 ジェロンテクノロジー
- 関西学院大学 手話言語講座
- 神戸芸術工科大学 デザイン学部
(二年以上通ったところのみ 単発講義は除く)