スローなユビキタスライフ感想文
宮崎 正子 氏 オークヴィレッジ森の自然学校コーディネーター
私たちが主催する自然体験プログラムに、「五感を活かして森を観察する」というも
のがあります。漠然と歩くのではなく、赤いものや丸いものを探したり、香りを嗅ぐ、
触る、湧き水を飲む、目を瞑って森の音に耳をそばだてるというように、目的意識を
持って森に入り、五感を働かせることによって、今まで見えなかったものに気づかせ
るのです。筆者と一緒に高山の街を歩いた時、筆者が常にそれを実践してお
り、一瞬もぼーっとしていないのがとても印象的でした。それが、この本の至る所に
散りばめられ、いのちと意味を与えられて輝いているのを見ました。
東京から飛騨に移り住んで6年、自然に囲まれて幸せなのはもちろん、都会にはな
い、スーパーのレジでのおしゃべりや地域の活動を通して、人と関わることの楽しさ、認
知されていることの喜び、そして「認知されていること」を幸せだと感じることので
きる幸せを享受している私にとって、「ユビキタス社会はコミュニケーション社会で
ある」と説くこの本が、その発展形を示し、進むべき道を教えてくれているといえます。
私のバイブルともなるべき本です。
飛騨・清見より