ここから始めるWebアクセシビリティ

ここから始めるWebアクセシビリティ「はじめに」より

はじめに

最近では、何かをする前に「とりあえずインターネットで調べてみるか」と言うことが、ごく普通になってきています。例えば、「こんど旅行に行くけれど、どんなところが良いかなー」とネットサーフィンをし、場所が見つかれば「ここに行くにはどういうルートで何時に出れば良いのかなー」とか「露天風呂を貸しきりで入れる旅館がないかなー」、等を専門検索サイトで探し、ついでに列車や旅館に予約まで入れてしまうことが、どこにも行かず自宅のパソコンから簡単にできてしまいます。
インターネットの世界には、検索してみるとこんなものまであるのかという、およそない情報を見つける方が難しい思われるほど、ありとあらゆる情報が存在しています。
しかし、このようにWebサイトは便利なものですが、出歩いたりして情報収集や各種手続きをすることの難しい、本来一番必要であるはずの高齢者や障害者にとって、使えない、あるいは使いにくいウェブサイトが数多く存在します。
このウェブサイトのバリアをなくすことがアクセシビリティに配慮するということになり、アクセシビリティに配慮したウェブを作る場合、基本的には世界基準のW3Cを参考にすると良いでしょう。W3Cの中のWAIと言う分科会から「ウェブコンテンツアクセシビリティ・ガイドライン」が出ています。このガイドラインは公認翻訳者によって日本語に翻訳されていますが、文書量も多く直訳のためかわかりにくい部分も多くあり、優先順位の付け方や日本語固有の問題もあり、そのまま基準としては使いにくいという感があります。
そこで筆者は、このガイドラインを基に、これまでのアクセシブルウェブ作成から得た経験に加えて、仲間の障害を持つ当事者などの意見も取り入れ、日本語環境でのアクセシビリティを計るための独自ガイドラインを作成しました。このガイドラインは、配慮する作成ポイントをできるだけわかりやすく具体的にまとめたものです。
本書では、このガイドラインを基に、2004年6月20日公告予定のJIS規格(JIS X 8341-3 ウェブコンテンツ)を考慮して、より多くの人が使いやすいWebのアクセシビリティに関して、Windowsを中心に、できるだけ一般的な用語で初心者にもわかりやすく解説することを心がけるとともに、現在使われている一般的なHTML技術でできることを、具体的な事例を通して説明しています。したがって、今後の技術の進歩によっては別の方法が出てきたり、配慮の必要のない項目も出てくることを予めご承知おき下さい。
また、本来アクセシビリティの高いページを作るには、ページを作るためのHTML言語やスタイルシートが理解できることが望ましいのですが、初心者などが一般的に使っているホームページビルダーのような作成ソフトでも配慮できるように章を設け、できるだけ多くの方に使って頂けるように配慮しました。
完璧なアクセシビリティを求めることより、より多くの人が利用できるように、まずは一歩を踏み出していただくきっかけにして頂ければと思います。
最後になりますが、本書を作るにあたり一緒に原稿を書いてくださった関根社長、榊原氏、小川氏に感謝すると共に、出版に際して原稿の遅れなど多大なご迷惑をお掛けしたにもかかわらず、快くアドバイスやご協力して頂いた(株)ぎょうせいの皆様に深くお礼を申し上げたいと思います。

2004年5月20日

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